<視 察 日 程>
【15日】
●中部国際空港→ハノイ空港
●在ベトナム大使館主催夕食会
【16日】
●トヨタモーターベトナム
●ホーチミン廟
●経済交流会
【17日】
●三菱重工エアロスペースベトナム
●名古屋大学法教室研究センター
●ハノイ市→ホーチミン(飛行機で移動)
【18日】
●在ホーチミン総領事
●ホーチミン市役所
●クチトンネル見学
●ベトナム留学生との交流会
【19日】
●ベンチェ省知事・書記長訪問
●グエンディチェー病院
●民家訪問
●ザオロン工業団地
●ツーズー病院視察
●ホーチミン空港出発(12:20am)
【20日】
●中部国際空港到着 (7:30am)
<視察の概要>
今回の視察は愛知県とベトナムが友好関係を深め、相互経済協力、および医療協力を推進するために愛知県知事、愛知県議会議長、中部経済連合会会長を筆頭に愛知県議団31名でベトナムに赴きました。
大村知事は16日にベトナムのズン首相と会談し、貿易や投資、観光の3分野で、愛知県とベトナムとの協力関係を強化する考えを明らかにしました。
ズン首相は、愛知県がベトナムの中央省庁や地元自治体と密接に協力する活動を通じて、両国間全体の協力関係強化に寄与することを期待していると述べられ、これに対し、大村知事も現在、愛知県の企業100社以上がベトナムに進出しており、今後もベトナムでの愛知県出身企業の事業が発展するよう政府支援を継続するよう求めていくと表明されました。
また、大村知事はベトナムの厚生省との間で覚書を交わし、ベトナムのがん治療専門の医師や看護婦を日本に招待し、1年間の医療訓練コースに招くことを決めました。
大村知事はベトナム政府グエン・ティ・キム・ティエン保健相とも会談し、県がんセンター中央病院(名古屋市千種区)で、研修生としてベトナムの医師と看護士を受け入れる覚書を締結しました。(研修期間は1年で医師と看護士を年間一人ずつ受け入れるという内容)。
今回の訪問では、県とベトナム政府は、県立病院でベトナム患者に高度な医療サービスを提供するために、具体的な手続きを定める協議を始めることでも合意いたしました。その他に、ホーチミン市と中部国際空港の直行便を現在の週3便から週4〜5便に増やしていく方向で協議しました。
また、愛知県では、若者の学習支援、人材作り支援として、愛知に留学をして帰国したベトナム人学生のネットワーク作りにも力を入れており、ハノイとホーチミンに支部を設置しているので、このネットワーク(通称;バロネット)に所属するベトナム人留学生との交流会も18日にホーチミンのホテルで開催されました。
<愛知県とベトナムの経済交流の概要>
ベトナムは8500万人の人口中、平均労働年齢が30歳ということです。非常に元気で若い労働力がこれからの経済成長の主力になるので、世界から高い関心が集まっています。勤勉で優秀な人材も豊富であり、安い賃金で人材を確保できること、さらには地理的に中国華南地域に隣接していることが、中国プラスワンの投資先として注目されている要因なのではないかと思います。
IMF(国際通貨基金)によると2010年のベトナムのGDP(国内総生産)は2019億ドルで長野県と同じくらいということですが、皆さん、ピンときますでしょうか?
大村知事のスピーチでは、愛知県とベトナム政府は2008年3月に経済交流に関する覚書を締決し、2009年にはベトナム進出企業支援窓口としてのサポートデスクの設置や投資セミナーの開催などをベトナム政府と連携して行ない、愛知県内企業のベトナムへの進出支援を行なってきた。県のサポートデスクでは、県内からベトナムに進出している企業(現在107社)の事業経営、運営に関する困りごとの相談やベトナム政府、地方政府の交流の橋渡しになるために愛知県としてもできる限りの努力を惜しまない、ということをおっしゃっていました。
そしてさらに、中部経済連合会は、昨年(2011年)6月にベトナムの計画投資省と経済交流を図る覚書を締決。名古屋商工会議所も昨年9月にベトナムに企業の訪問団を派遣し、ホーチミン商工会議所も自国の訪問団を愛知に派遣し、相互の経済交流を深めるための活動を積極的に行なっているということも述べられていました。
【15日】
駐ベトナム日本大使館主催の夕食会にて
<大村知事のスピーチより>
★ベトナムと愛知の経済発展のために愛知の企業、特に中小企業のベトナム参入を応援することと、ベトナムへのインフラ構築のための支援に力を注ぎたい。
<大使館の感想>
大使館の宴会場というともっとゴージャスなものなのかと思ったら、意外と質素な感じでした。お料理はさすが、お上品な味の薄味のベトナム料理で美味しかったです。
会食中には参事官、大使館公使、書記の方々とも直接お話をさせていただいたので、ベトナム人の日常生活や習慣のことについてなども幅広くお話を伺うことができ、勉強になりました。
yk
【16日】
トヨタモーターベトナム
<トヨタモータベトナムの社長のお話より>
ハノイ空港の中心部から約1時間ほど離れたところに立地するトヨタモーターベトナムは1995年に設立されて以来、順調にベトナム国内市場にシェアを広げて来ました。
現在では1700人の社員(内11名が日本人、約1300人が生産部門)で操業。ベトナム人社員は非常に若く、30歳以下は社員全体の65%を締めるということです。
ここトヨタベトナムでは、女性社員も多く、出産が当たり前だそうで、育児休暇の保障制度もきちんと確率されていて、4ヶ月の育児休暇を取った後、すぐに仕事に復帰できるのです。ということは、保育園が十分な数だけあるのか、親が近くに住んでいて子供をみてくれているのでしょう。
女性にとっては嬉しい仕事環境だと思いました。
トヨタモーターベトナムでの生産シェアは27%でトップ。(因に現在ベトナムで登録されている自動車企業は18社。)
輸入車だと関税が本体価格の2〜3倍課せられるので、レクサスの上のモデルだと2000万円以上になります。
一部の富裕層しか輸入車は手が出ないということになるので、トヨタのまずの目標は、ベトナム国内での生産をいかに安くし、国際競争に勝ち抜くかがポイントということでした。
しかし、市内はモーターバイクであふれていて、庶民にとっての便利で大切な足はやはりモーターバイク!
国内生産を増やして行くには、まずは駐車場の整備や、道路の拡充などの交通インフラを同時に進めていくことが課題だと思われます。
しかし、今の道路事情や市民の習慣や意識の定着からは、莫大な資金を投じてまで交通インフラの整備にはたどり着かないというのが現状。
政府は経済発展を目指してはいるものの、自動車の普及、受け入れに関しては消極的であるということです。
工場内を見学させていただきましたが、すべての工程が手作業なため、人的ミスをしないように、色々な工夫がなされていました。
すべてのセクションがきれいに整理整頓されており、誰がいつどこで何をやるのかがクリアに示されたボードがあちこちに掲げられていました。
生産性をあげるために、交代できちんと休憩を取るシフトも組まれており、さすがトヨタ!と思いました。
ぜひここベトナムで、トヨタの車がもっとあちこちで見られるよう頑張っていただきたいです。
yk
【16日】
経済交流会
@ホテルニッコーハノイ
主催:愛知県知事
共催:ベトナム社会主義共和国計画投資副大臣
【17日】
三菱重工エアロスペースベトナム (MHIVA)
@タンロン工業団地
ハノイ中心部から30分ほど車を走らせたところに位置する工業団地の一角にたたずむ三菱重工エアロスペースベトナムに赴きました。
このタンロン工業団地は住友商事が50%出資している日系工業団地で、インフラもきちんと整備され、電力も安定供給されているということなので、ここに工場を構える企業は錚々たるメンバー!
住友重機、住友ベークライト、住友ナコ、デンソー、NKE、YAMAHA、PANASONIC、CANON、HOYA、TOTO、KAI、NKE、KYB、そして三菱重工エアロスペース(MHIVA)。
こちら三菱重工エアロスペースベトナム(以下MHIVAと呼びます)は、20,000㎡のの敷地(このうち4500㎡が工場建物)で173名の社員で運営。(日本人駐在員5名 、研修生43名を含む。)ボーイング737のフラップの組立(翼部分の空気抵抗を調節する部分)を主要製品として事業を展開。
2007年の投資ライセンスの認可を受けてから2009年9月の開所式に至るまで2回に渡り、45名のベトナム人研修生を日本へ派遣し、日本語も含めた技術教育をして、ベトナム初の生産開始に至りました。開所式以降も研修生の教育に力を入れ、現在では7期生が研修中ということで、MHIVAの常により良い生産技術と効率化を目指している姿勢が伺えました。
工場内を見学させていただきましたが、すべての部品や生産ラインがきれいに整理整頓されていて、ミスがなるべく出にくい環境が整備されていました。
ところどころで、工場内の床で昼寝をしている作業員がいましたが、社長のご説明では、これは怠けているのではなく、家ではエアコンもなく、しっかり眠れないので、こうやってクーラーの効いた涼しいところで少しでも睡眠をとって、仕事の効率をあげようと努力しているので、会社にとってもいいことなんですよ、とおっしゃっていました。
そうです、私たちはともすれば、表面的なことだけを見て、物事の価値を決めたり批判をしがちですが、みんなそれぞれに理由があってそうせざるを得ないこともあったり、民族の習慣や価値観も違うので、お互いに認め合ってお付き合いをしていかなければならない、ということを改めて感じました。
さて、こちらMHIVAの社員の平均年齢も非常に若く、24.3歳!
研修生の中には、中学校を卒業するかしないかくらいの年齢の若い人もいるということでした。
とにかく、一刻も家族のために働きたい!という若者が多いということです。
ひとつ問題なのが、離職率も大きいそうで、作業者の勤続年数は1.6年で、実務経験年数は1.1年と短い。
せっかく時間とお金をかけて教育してもすぐにやめてしまわれては困ってしまうが、わずかな人数でも優秀な作業員に対しては、将来の設計図が描けるような待遇、あるいは特典などを与えて、人材確保をしていくことと、やめていく人間の数も計算に入れて、余裕を持ったマネージメントをしていくことが課題である、ということもつけ加えられていました。
yk
【17日】
名古屋大学日本法教育研究センター
<名古屋大学日本法教育研究センターの概要>
日本はベトナムに日本の法律を学んでもらうために、これまでに数多くの支援をしてきました。名古屋大学大学院法律研究科も、法学を専門とするベトナム人留学生を一人でも多く迎え入れることもその支援のひとつです。1997年9月には、日本語で日本の法律教育を実現するため、ハノイ法科大学内に日本法教育研究センターベトナム(以下CJLVA)を設立。2011年には設立5周年を迎え、第1期卒業生を輩出しました。そして現在では、卒業生のうち2名が名古屋大学大学院法学研究科修士課程に進学した他、政府機関、法律事務所等に就職しているということです。
現在の学生数:65名(4年生16名、3年生13名、2年生13名、1年生14名)
❤殆どの学生は女子。ベトナムの女子の向上心と勉強意欲はスゴイ&素晴らしい!
❤この日の日越友好愛議連の視察に合わせて、昨年日本に留学し、小島議員と犬飼議員の家にホームステイをした卒業生2名も参加してくれました。日本語も上手で、笑顔がとってもかわいい女の子でした。
今回のCJLVAの会合では、4年生の唯一の男子生徒が代表で、日本語で研究発表をしてくれましたが、テーマは『国家間の主権免除』という難しい問題についてでした。日本語で殆ど間違えずに分かりやすく発表できていたので感動しました。彼はもうすぐ卒業し、名古屋大学の大学院に奨学生として留学するそうです。
ぜひとも頑張って日本とベトナムの架け橋になっていただきたいと思います。
その他にも大勢の3,4年生の女子学生がカラフルなアオザイで正装して参加しておりました。私もそのうちの何人かと直接日本語でお話をさせていただきました。
父親が弁護士であったり、教師であったりと、恵まれた環境にある生徒がやはり多いようでしたが、恵まれた環境に甘んじることなく、毎日長時間勉強し一生懸命努力していることがよく分かりました。彼女たちにも、これから目まぐるしく発展していくベトナムのリーダーとして、ぜひ夢と希望を持って頑張っていただきたいと思いました。
yk
【18日】
在ホーチミン総領事館
ホーチミンは人口800万余人と出稼ぎ人口もあわせると1100万人余にもなる大都市だけあって、領事館のセキュリティーもかなり厳重でした。私たち議員団は一人ひとり名前をチェックさせられ、OKをもらわないと門の中に入れてもらえなかったので、全議員と同行の愛知県職員、そして最後に議長と大村知事までもチェックされていました。議員団に対してそこまでやる必要あるのかな?とは思ったものの、やはりそれくらいしないと何かあったときの責任問題が厳しいのでしょう。
さてこちらのホーチミン総領事館は、とてもモダンで天井も高くすっきりしていて、会議室もシンプルでいい感じでした。
<総領事の日田春光氏のスピーチより>
★ホーチミン市内の日本企業は現在560社、ハノイ市410社、ダナン60~70社程度で、ホーチミンに住む日本人は約4300人。日本人の小、中、高校生徒数は320人余で、今後も生徒数は増えるはずなので、教室不足になってきている。まずは500人くらいまで受け入れれるように改築予定。
★ベトナムの主力輸出品はカシューナッツが世界で1位。(私としては意外でした。)
コーヒーはブラジルに次いで2位。ベトナムで穫れる安いコーヒーは世界中の缶コーヒーやコーヒー加工品に使われているので、その出荷量は世界2位の座を保っている。その他に携帯電話の部品や縫製品でもシェアを伸ばしている。南の地方では水産加工物の出荷量は多い。
★これからのホーチミンの課題としては、都市部の交通渋滞の緩和。南北格差、あるいは都市部と田舎部(農村部)の格差是正。
交通インフラが充分にできていないので、自動車の発展はまだ時間がかかるだろう。
たとえお金があっても、利便性を考えるとバイクの方が断然動きやすいので、なかなか車の購入にまでいたらないというのが現状。
それから課税の問題も課題。現在ホーチミンの税収の70%は中央に上納しているので、こういった制度も含めて課税の改革が課題。
★ベトナムでは法律は一応きちんとできているが、その運用規則がしっかりできていないので、今後はこの運用規則の整備も課題。
★ベトナム人は日本人から見ると、歩道の椅子にずーっと座っていたり、一日中バイクを乗り回して何をやってるんだろう?と不思議に思うかもしれないが、ベトナム人は私たち日本人のようにせっかちではないので、長い目で見ることが大切ということをおっしゃっていました。
こちらの領事館には中部経済連合会会長の三田氏も訪問されており、スピーチをされました。
2008年に愛知県に友好デスクを設けるにあたり、超党派で
議員連盟を発足したが、日経連においても応援団の役割として日越友好を推進して行きたい!と力強いメッセージで締めくくられていました。
yk
【18日】
ホーチミン市人民委員会庁舎(ホーチミン市役所)
ホーチミン市役所はヨーロピアン調の非常に優雅な建物。
これもフランスの統治時代に建てられたものなのかもしれないですね。
中の内装も非常に素晴らしいデザインで見ているだけで、優雅な気持ちになってきました。
私たち議員一行と知事はホーチミン人民委員会の各部局の委員長クラスの職員達が待つ大きな会議室に通されました。
ホーチミン人民委員会副委員長のスピーチから始まり、大村知事、岩村議長、中部経済連合会会長三田氏、日越友好議員連盟の倉知会長、医学博士の夏目先生、そしてホーチミン市土地計画課長のスピーチで締めくくられました。
<ホーチミン人民委員会副委員長のスピーチより>
★昨年、人民委員会で日本を訪問したときには愛知にも立ち寄り、大村知事に面談したが、また今回このような形でお会いできて嬉しい。
★ホーチミンはベトナム最大の都市でGDPは20%以上を占めており、外国企業より多大な協力を得ている。
日本からは現在500社の進出をしてもらっており、ホーチミンから日本への輸出は20億米ドルにまで及ぶ。
日本人観光客は年間30万人余りでアメリカに次いで2番目に多い。
★日本からの支援額は世界で1位!
ホーチミン市は今後も多くの外交企業の誘致を考えており、特に愛知の自動車産業には期待をしている。
それと同時にITなどのハイテク産業の進出も大きく期待している。
<大村知事のスピーチより>
★今回のベトナム訪問では、ズン首相、グエン・ティ・ゾアン国家副主席とも会談したので、これを機にさらに交流を深めて行きたい。
★2008年に経済交流の友好協定を締決し、2009年には企業サポートデスクを設置。愛知県からは107社の企業がベトナムに進出している。
★名古屋商工会議所は昨年9月にホーチミン市を訪問し、積極的に経済交流を計り始めた。
愛知県はGDPが日本で東京に次いで2位の工業県であるので、ベトナムで最大の経済都市であるホーチミンとはぜひとも交流を深めて行きたい。
と都市7月の開催予定のSTベトナムには、引き続き愛知県も支援して行きたい。
★ベトナムから愛知への留学生が帰国した際のネットワーク作り(バロネット:現在の会員75名)をさらに拡充させて行きたい。
★中部国際空港とホーチミンの直行便が現在は、週3便しかないので、週4便〜5便に増やせるように、昨日ベトナム空港を訪問し、ミン社長と約束を交わして来た。ぜひとも増便を支援していただきたい。
<岩村議長のスピーチより>
★愛知県で議長がベトナムに訪問したのは初めてなので、この訪問により新たな歴史の1ページが開かれた。
みなさんもぜひ、愛知県の議会を訪問し交流を深めて行きましょう。
<中部経済連三田会長スピーチより>
★中部経済連合会は、日本の真ん中の5つの県から成り、中部からは250社がベトナムに進出している。
★近年では、益々ベトナム進出を考える企業が増えているので、企業が進出するためのセミナーも増えている。
★ベトナムを理解しながら、中部圏の企業がしっかりと投資できる環境づくりに尽力したい。
<日越友好愛知県議連盟 倉知会長のスピーチより>
★2008年に初めてベトナム訪問をした時には、当時の副首相と面談したが、その時以来、愛知県議連としてもベトナムとの経済交流、若者支援のための交流に努めてきたが、今後もできる限り応援・支援を続けて行きたい。
<夏目医師のスピーチより>
★20年間ホーチミン病院で口唇口蓋裂のプロジェクトに取り組んで来て、それなりの成果を出してきた。
今後もさらに精力的に取り組んで行きたい。
yk
18日
<クチトンネル見学>
クチトンネルは、ホーチミン市の西北70kmほどの距離にあるクチ県の軍区、南ベトナム民族解放戦線(いわゆるべトコン)の有力な拠点でした。ここではクチ県の人民が堅固に抵抗し、戦争中に様々戦略に対応しました。このトンネルは、ベトナムに勝利をもたらした要因の一つといわれています。そして今では、ベトナム解放勢力の英雄的象徴とされています。
このトンネル地下道はカンボジアの国境付近まで張り巡らされ全長200キロメートルにまで及びます。
周辺には落とし穴のなどのトラップも数多く見られ、戦時中には米軍に見つからないように様々な工夫をして身を潜めて暮らしていたそうです。
20年にも及ぶ長い戦争だっただけに、この暗いトンネの中で長い年月を過ごし、精神をおかしくしてしまった人や、病気などでも死ぬ人も多かったということです。
しかしこのような過酷な状況で最終的に勝利に至ったということは、まずは私たちの想像を絶する彼らの愛国心と信じる力があったからこそだと思います。
私たちも狭いトンネルの中に入って数十メートルほど歩かせていただきましたが、入ったとたんから息苦しく、腰を曲げてしか歩けないので死にそうでした。このようなトンネルを200キロも堀ったということ自体驚きですが、ここに長い年月潜んでいたというのは「ス・ゴ・イ!』としか言いようがないです。
このトンネルの見学をさせていただくにあたって改めて当時のベトナム兵や市民の強固な精神力に尊敬の念を抱かずにはいられませんでした。
yk
【18日】
愛知県・ベトナム留学生交流会
大村知事、岩村議長を始め教育関係者やその他政府、経済界の方々とホーチミン法科大の留学生、在学生も交えてたくさんの出席者がありました。
私たち議員も、和やかな雰囲気の中でたくさんの学生さんたちと直接お話ができてとても有意義な交流会を持つことができました。
私のお話した学生さんはみんな勉強熱心で、しかも笑顔がとっても素敵でした。ハノイでも法科大学の留学生や在校生もとてもポジティブな印象を受けましたが、こちらホーチミンも負けないくらいポジティブ!将来何をしたいのかはっきりと分かった上で勉強をしているようでした。
日本の学生ももっともっと彼らに負けないように頑張って欲しい!(ホントに!)
大村知事は学生たちに大人気で、学生たちとの写真撮影にひっぱりだこでした。私もその仲間に入れさせていただきました。
ここにご紹介しておきます。
yk
【19日】
ベンチェ省知事・書記長訪問
ベンチェ省はホーチミン市より86Km、カントー市より120kmに位置するメコンデルタ地帯を形成する13の省のひとつで、3つの三角州から構成されています。ココナッツの森林におおわれた肥沃な土地で、農業が盛んであり、果樹園が多く、ココアの栽培は国内生産の2分の1を占めています。
その他水田も多く、米作りも盛んに行われています。
淡水魚やエビなどの水産物も豊富で、シーフード料理はとても美味しく、観光客にとっての大きな魅力のひとつとなっています。
ベンチェ省は自然の産物に恵まれた地域の特色を生かして発展してきましたが、最近では工業都市としての開発も進んでおり、新たな工業団地の誘致も積極的に行われています。
ベンチェ省の人口は125万6千人ほどで、そのうちの労働人口は57%ということです。
ベンチェ省知事は、愛知県からももっと企業が参入してくれるよう、受け入れ体制を整えて行きたい!と述べられていました。
愛知県議会の議長がベトナムを訪問したのは今回が初めてであり、愛知県議員友好連盟の約半数にあたる31名の議員が訪問したのも初めてのことなので、今回の訪問は愛知県が一丸となって日本とベトナムの友好関係をさらに強く推し進めて行きたい、という強い姿勢を示すことができたという点でも、非常に意味のあるものだったのではないかと思います。
yk
【19日】
グエンディチェー病院視察
★日本口唇口蓋裂協会常務理事 夏目長門先生がこれまでに多くの子供たちの手術を手がけてきた病院
私たちのバスが病院に到着し、バスから降りるところから日の丸や自国ベトナムの旗を片手にたくさんの患者さんや看護婦さんたちが出迎えてくれました。(こんなに歓迎していただけるということに感激しました。)
盲目の若い青年患者さんや子供の患者さんたちが、歌を歌ったり、楽器の演奏をして歓迎コンサートもしてくれました。(これもまた感動!)
ベトナム戦争中に枯葉剤が散布されたことにより、多大な被害が出たことは大きな社会的問題のひとつとして周知されていますが、この病院ではその枯葉剤の影響で障害を持って生まれた大勢の子供たちが口唇破裂などの手術を受けてきました。私たちを出迎えてくれた殆どの子供たちは手術を受けた子供たちでした。
夏目先生の長年に渡る地道な活動がこのような子供たちの夢と希望の光となっているのだということを改めて感じました。
愛知県でももっとこのような境遇の子供たちの存在を多くの人たちに知ってもらい、今後も何かの形で少しでも支援できたらと思います。
yk
口唇裂傷患者自宅訪問
さきほどの病院で手術を受けた子供が住んでいる民家を訪問しました。生活はとても質素で、殆ど自給自足の生活をしており、日本円にして3000円程度で一家が暮らしていけるということでした。
ニコニコと楽しそうなお父さんは、ココナッツを一生懸命割っていました。私たちもココナッツジュースをひとり一つずつごちそうになりました。
印象的だったのは、家のすぐ近くに大きな立派なお墓があったこと。彼らは死んだらあそこに入るんだ、ということを意識して毎日そのお墓を見ながら暮らしているそうです。まさしく生と死を正面から受け止めて生きているというのはスゴイなぁと思いました。
yk
ツーズー病院視察
ここホーチミン市の中心部にあるツーズー病院はベトナム一の規模の産科専門病院で、日本にもこのような大きな産科専門病院はない。ベトちゃん、ドクちゃんがこの病院で分離手術を受け、2007年25歳でベト君は亡くなってしまいましたが、ドク君は現在でもスタッフとしてこちらで働いています。
ツーズー病院には親に捨てられた障害を持つ子供たちを育てる平和村という施設があります。(ドイツのNGOによって建てられたそうで、このツーズー病院を含めて全国に4カ所あるそうです。)
お話を伺いながら通された部屋は、異常胎児の標本がたくさん保存されていました。戦争終結直後の標本とみられるものから、最近のものまで色々でした。このような液体に浸かった胎児を見るのは初めてで、本当に衝撃的でした。
この後、重度の障害を持つ子供たちがベッドで横たわっている部屋に案内してもらいました。今にも折れてしまいそうな細い腕と細い足。しかしきれいな黒い瞳が私に向かって微笑みかけてくれた時には、思わず抱きしめてあげたくなりました。
こうしてドク君や看護婦さんたちが、私たちに病院内のいくつかの部屋を案内してくれたのですが、驚いたのはドク君の階段の上るのの速いこと! 片足1本と松葉杖だけで歩いているということを感じさせない動きに感動しました。
ツーズー病院を出るときには、夜になっていてもう真っ暗でしたが、たくさんの外来の患者さんや看護婦さんたちでにぎわっていました。
yk
ベトナム視察後記
今回のベトナム訪問は同じアジアの中の日本とベトナム、そして他の近隣諸国も含めて、共存共栄していくためにはどうしたらいいのかということを、改めて考えさせられる訪問でした。
愛知県による医療支援、インフラ整備支援を今後積極的に推進して行くことを取り決めたことに関しては非常に有意義な訪問でしたが、果たして日本と同じような経済発展主義の道をベトナムにも歩んで行ってもらうことがいいのかどうか、一度立ち止まって考えて行かなければならないと思いました。それぞれの国の抱える個々の問題と向き合いながら、お互いを認め合い、支援し合っていく方向を慎重に探って行かなければならないのではないのではないでしょうか。
yk
コメントをお書きください
やすす (木曜日, 17 5月 2012 17:45)
はじめてコメントさせていただきます。
が、いつもすごい充実のブログをたまに拝見してますよ。
ベトナムは本当に活気があって興味深い国ですね。
交流が更に盛んになる事を希望してます。
東議員、長旅お疲れ様でした。
東ゆうこ (金曜日, 18 5月 2012 08:57)
メッセージありがとうございました。
ベトナムの人たちは温厚で、真面目ですごくいい考え方をしている方が多いなということを感じました。
近所の人がレクサスなどの高級車に乗っていても、それを羨んだり、ねたんだりして傷つけたり、部品を盗んだりということをしないみたいで、高級車が無防備にあちこちに停められている光景を目にしました。
『高級車や大きな家は頑張った人のご褒美だから、、、』と考えるようです。
庶民は楽しそうに朝早くから近くの公園でバトミントンをしたりウォーキングをしたり、お金のかからない遊びが日課のようですごく楽しそうでした。
yk