今回の視察は、中学・高校の一貫教育の取組で全国でも注目されている学校である温泉地としても有名な『北海道立登別明日中等教育学校』、そして北海道の農業高校の拠点校として、十勝平野の自然に恵まれた広大な大地で、ユニークで実践的な農業教育に取組む『北海道立帯広農業高校』、鹿追町の山村留学を長年に渡り推進ししてこられている『鹿追町教育員会』と『鹿追町自然留学センター』『鹿追町立瓜幕(うりまく)小学校』、そして北海道十勝の歴史と共に守られてきた世界で唯一存在する帯広の『ばんえい競馬』とばんえい競馬では初の女性調教師『谷あゆみさん』にインタビューをして参りました。
★ 今回の視察の焦点★
日本の教育は、戦後の高度経済成長の中で勤勉で賢い社会人を作るために、少しでもいい高校、大学に進学・卒業し、大企業に入社することが『人生の成功』とする傾向にありました。しかし、これからの日本は、大企業で終身雇用の座につき、老後は年金生活で楽しく暮らすという画一的__な人生図が必ずしも幸せを意味するものではない!という時代になってきているのは誰もが感じているところだと思います。
このような時代の移り変わりの中で、どう生きるのが幸せで、どんな教育を受けるのが正しいのかということは、簡単には明言できないのが実情ですが、これからの日本の姿である少子高齢化社会の中では、みんなが同じ方向に向かうのではなく、多様な選択肢の中から個々の能力を一番発揮できる方向に進めるような教育を受けることができるようにすることが、大きな課題のひとつなのではないかと思います。
今回の視察では、今の日本の教育において個々の個性を伸ばし、幅広い選択肢の中から専門的な知識を身につける教育を実践されている素晴らしい学校を選んでお話を伺ってきました。
それぞれの概要は以下の通りです。
北海道登別明日中等教育学校
(校長先生のお話)
★歴史
●平成11年に文科省施策が発表された。
● 平成12年 それを受け、道の教育委員会で中高一貫教育校を作る話になった。
●4校が手を挙げたが、登別が一番反対が少なかった。また、市でも援助をしている事も採用する理由であった。地域一帯で協力し、基金を作って開校当初200万円を寄付していただいた。
●平成16年工事始まり、19年4月開校。
●制服等まで、地域の方にアンケートを取ったり、地域のコンセンサスを得る努力をした。
★教員の面接は、開校前は道の教育委員会で面接を行った。
★試行錯誤をしながらやっと6年目を迎えた。やっと中学から入った一回生が卒業を迎えるが、まだ不確定な要素も多い。一期生は勢いで進路も実現されているが、二期生、三期生がうまくいかないケースも他校で報告されている。
★中学から入ってきた生徒と、高校から入ってきた生徒と学力の幅があり、進路指導も試行錯誤である。
★中高一貫教育の、一体型である。
イメージ的には小学校の6年がもう一回あるようなものである。(佐賀県は併設型、道内は連携型がほとんど・・たとえば、上川中学を出た生徒が全て上川高校に行くわけではない)
★6年を三つに分けて、1・2回生、3・4回生、5・6回生という一体的な体制をとっている。
★学校目標は「明日を創る」学校の名前に重なる部分でもある。
★6年間在籍するので、英語・数学などは基礎から徹底的に習得させる。中一の時点で宿題が多く、寝るのが午前1時になってしまう事もある。しかしそのうち体制に慣れる。英語などは少人数体制で、クラスを二つに分けている。中一の英語では男女別に分けている。男女別の方が定着しやすいという報告がある。まだ始めて一カ月しか経っていないが、数か月で成果が出てくると思われる。(異性を意識しはじめる年齢なので、分けた方が発言が多くなる。)
★数学は先生が最低ふたり入ってティームティーチングを行っている。
習熟度別学習を行っている。テストごとにクラスが変わることもある。
★イマージョンプログラム、すなわち英語以外の教科も英語で行う事を行っている。しかし全ての教師が話せるわけではないので、一時間のうち、少しの時間、単語でも良いので英語を交える、という教師もいる。カナダでできたプログラムである。
総合学習の時間などはALTを活用し、プログラムを組んで数時間英語のみという取り組みをしている。
★(録画ビデオ)イマージョンプログラムの一例:
家庭科を英語で教えてる光景を観せていただいた。
教師は英語も出来て、中高の免許も持っている人材を開校当初探した。
★「日本に来て驚いたことは何ですか」などの質問を日本語から英語に訳する授業=社会科
★中国語、ハングル語、パソコン教室では予備校の講座も受けられる。
★ALTは常駐1名、他1名で英検の指導も行う。北海道では、ALTが授業をするのはまだない。
★4回生になると、近くの小学校に英語を教えに行く。3年目になる。小学校と連携し、生徒が教員のように指導する内容を小学校の先生と打ち合わせをし、作成する。
★5回生ではアメリカ・カナダでの見学旅行を実施している。(シアトルの学校で4泊5日、ホームステイをし交流する)
★異年齢交流、文化祭も6学年が全て集まって行う。体育祭も1回生から6回生まで全て集まって行う。遠足は、中一と高一、中二と高二とペアを組んで行う。
★PTAの活動が非常に活発で、文化祭も何百人と来る。手伝いも人が余る位である。
★1学年2クラス、80名である。
1年〜6年までの生徒数は470名。
★学習以外のものを触れる企画も盛りだくさん
●オペラ歌手招
●ライオンキングをバス貸切で観に行った
●地域を知るような学習、朝学習の実施(MS)放課後の学習
★他特色
●中三で大学訪問をする!
受験がない分早めに進路を考えてもらいたい。
●4回生はインターンシップ(職業)体験がある(一日のみ、札幌市内。証券会社、野村総研、北大など)
●5・6回生 卒業研究開始、発表がある。生徒が一人一つテーマを決めて、二年間研究して発表する。
★寄宿舎(あけび館)
●1学年につき男女各8名、計16名を受け入れ。
1〜6学年全員で96名を受け入れ。
●(寮は開校時に出来た)建設費用40億円。
●6年間一緒なので、非常に仲が良い。
しかしながらホームシックにかかり、親元に帰るケースもある。
●脱落したのは数年で2,3名程度であった。
●学習室などもある。
●クリスマスパーティー、お誕生日会を行う。
●生徒がさびしくならないようたくさんのイベントを企画する。
●一番遠い子は稚内から来ている。
●寮は三食付(学校で食べるお弁当も持たせてくれる)
●みんな仲良し。いじめなどの問題はない。
★入試はしない。面接、グループワークでコミュニケーション能力、積極性などを判断する。
★ 登別高校を廃校にしてその跡地に校舎を建てた。
★オール木造、全て北海道製。(木の香りが心地いい〜)
★職員室は中高一体化している。
★あたたかみのある廊下・・ゆとりのあるスペースを設け、話せるスペースにしている。
★ 昼食はどこで食べても良い。(大学のキャンパスみたい。)
★寮の子達は、週末は自宅に帰る。親御さんが迎えに来ることもあり、自分で帰る事もある。
★マイナスの面は?
・6年制なので、中だるみが起きやすい
・学校の中で行事等をどんどん作っていかないとだれてしまう
・防止策として、英検等、短期的目標を作って取り組ませている。他校も同じ悩みを持っているようだ。
★入学時は大人数での生活、寄宿舎暮らしでストレスがある。
スクールカウンセラーを月二回のタイミングで呼び、夜にアクティビティをしてもらっている。自分の気持ちをどうすれば相手に伝えられるか、どうすれば自分でかかえこまないか、等が出来るようにアドバイスしてもらっている。
★ いじめの問題は殆どない。
いじめのない原因のひとつとして、入学選考は、グループ活動を行わせ、コミュニケーションが良くできる子を入れるようにしている。結果、良い子が入ってくる。
★面接の内容:
●中学に入りたい動機、入って何をしたいか、等聞いている。
●周辺には、明日中等の面接対策のための塾まであるようだ。
★学習能力をみる試験をしないので、学力はどうしても開きが出てしまう。
★入学者は特徴として、女子が多い。今年始めて半々になった。小6では女子の方がしっかりしており、コミュニケーションが得意な事が原因である。
★クラブ活動は、9割が入っている。
●クラブ活動の種類が多い。
●小さい時から習っているものを選ぶ場合が多いので、秀でている。
●6年間(5年半)打ち込めるので、全国大会に出場し始めた。
●辞める生徒はあまりいない。
●文化系と体育系のクラブを同時に入る生徒もいる。
★カナダへの旅行は20万円程度、補助はない。
保護者からの反対はない。
★生徒の希望進路は・・・6年間かけてじっくり将来の設計図を考えてもらうよう指導している。国連、絵本作家、消防士、芸術家など多彩である。
★ 保護者は、「学校を皆でつくっていこう」という気風がある。
★学校の財政は苦しい・・・
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帯広農業高等学校
<ご対応いただいた先生方>
★校長 米田(こめだ)敏也様
★理事長 高橋栄実様
★教頭 楊井(やぎい)様(名刺無し)
★農業経営者育成寮 舎監長 柴田政二様
まずは、平成3年にこの帯広農業高校を卒業したOBの漫画家、荒川弘さんの『銀の匙』のCMを見せていただきました。
朝から夜までの時間帯別(AM4~PM11)毎に20本作成。
出演は現役帯農生。
『銀の匙』のモデルとなったのが、この帯広農業高校。
『銀の匙』が少年サンデーで連載され大ヒットしたことによって、帯広農業高校の素晴らしい取組みが全国に知られることになりました。
★PPT資料を見ながら・・・
<一枚目>
●生徒玄関の写真
●右側のログハウスの建物(アグリス)で、月に一度 販売実習という形で、市民に生産物を販売している。
<二枚目>
●十勝地方は農業地帯である。日高山脈、大雪山、阿寒湖に囲まれ、天然の雪による水源をもつ耕地をもつ。
●十勝地方の農業生産額は2400億。耕地面積26万ヘクタール、全土の22%に当たる。
●十勝の一戸当たりの平均耕地面積は37.8ヘクタールであり、全国平均の1.6ヘクタールに比べると24倍である!農家戸数は、6740戸であり、全道の10%にあたる。
●十勝地方の生産物の全道における割合
肉牛41%
生乳25%
インゲン豆70%・・スイーツの原料にあたる。
その他小麦、じゃがいも、ビート、豆
<3枚目>
●愛知県の公立高校:150校
●北海道300校 農業高校は31校
●大正9年に十勝農学校として開校した。
明治44年に創立した岩見沢に次ぎ、旭川と合わせて御三家と呼ばれている。
<4枚目>
●昭和16年に獣医専門の学校と分かれ、後の帯広畜産大学になった。
●面積は101ヘクタール!
<5枚目>
●文武両道、スローガン「礼儀・協同・勤労」
●リーダーの育成・・十勝の農業生産者の担い手・地域リーダーとしての自覚・誇りを持たせる。
<6枚目>
●荒川弘さん(冒頭にご紹介した、帯広高校出身の人気漫画家)
在学中は授業中いたずら書きを書いていた。
スラっとしていて、空手部であった。酪農科卒業。
連載前に、学校の写真を撮りまくっていた。
●食の大切さ、命に対する教育、生産者と消費者の関係についても偏った経済消費主義ではない価値観等、感動を生んでいる。
<7枚目>
●1年入学時に1年間の寮教育をする。(B型)
●経営者育成寮という名前である。
●隣に遠隔者向けの寮もある。
●食品科の入寮期間は半年。20名ずつ入れ替わる。
●早朝での実習、寮での規律ある生活。
<8枚目>
●各学科紹介。
●定時制は昔農業後継者が繁忙のため設立された。機械化とともに余裕が生まれ、全日制に行ける生徒が増え、昔は問題のある子が中心だったが・・今は残念ながら募集停止となってしまった。●農業を通して勤労感、働くことへの理解を深めるなど、農業教育を通じて発達障害の子供たちを育てる効果が得られていたが、廃止となってしまい残念である。
<9枚目>
●正門と生徒玄関が200メートル離れている。
●構内には10数ペアのエゾリスがいる。生徒もかわいがっている。噂では「リスをいじめたら停学」
●原生自然林からのカシワの木(緑地環境保護区、昭和49年に指定、勝手に伐採できない)、キツツキもいる。
●正門から生徒玄関への哲学の道・・・S字カーブであることから・・・「人生には平坦な道はない!」
●フリーストール牛舎、バイオガスプラントなど、循環型の経営を行っている。
<10枚目、11枚目>
●日本は自給率は非常に少なく、40%を切っている。
●1位はオーストラリア、フランスは農業国でもあり、力のある国は自給率を確保している。
●経済のグローバル化の中で、農業が農産物価格の低迷とともに100人のうち3人が農業に従事、その中で二人が65歳以上である。後継者がいなければ自給率も上がらず、産地直送と言う形の経路の確立など、利益を大手企業にとられるのではなくて、生産者に還元できる形が必要である。
また、安全安心、顔の見える取引など、変換が求められている・・そのような形で農業従事者の教育が必要とされている。
<12枚目、13枚目>
●食育基本法(小泉純一郎さんが作った)
●日本の伝統的な食文化も、教えて行かねばならない。
<14枚目>
●牛が大人になると乳を出すと誤解している都会のお母さんがいる。
●食料に対する理解が、生産者が知らせる必要もある。
<15枚目>
●北海道がどういうことを課題とするべきか?
●「加工・販売が不足している!」
●今までは生産だけを強いられ、安い対価しか得られなかった!
●ヨーロッパは観光に加え農業も発達している。北海道は、観光は良いが農業は「汚い」などイメージが良くないし、人気がない。
●(校長先生は九州男児)外からの目で見ると・・・
●都会・便利な暮らしが良いという誤解がはびこった
●農村の楽しい暮らしが廃れて行った
●文化・伝承を守ろうという努力が軽視された
●幸せ=モノが豊かという経済至上主義の流れを、北海道も追いかけてしまった・・。
●酪農教育ファームで、このテーマで発表した。
<16枚目>
●農村景観の変化
●生産重視で、生活環境を軽視された。
●生活や環境をもっと重視し、「夏はイナカで休もう!」という人が出てくるよう、人の流れを大切にする事が必要である。
<17、18、19枚目>
●北海道はスイスに匹敵する風景を持っている!もっと誇りをもつべきである。
●紫竹ガーデン、上野ファームなどを大事にして、都会に流れる人間を田舎に還流する!
農家レストラン・ファームイン等でのおもてなし・・雇用も生まれる。
●シムラ牧場、ヒロセファームなど、高校OBが経営している。
ただし、農家経営とサービス業の両立に悩むなどの問題も出ている。
<20枚目>
●農業プラスαで、6次産業化を目指す!
●生産重視ではなく、色々な産業と連携することで付加価値を見出す。
●上述の、農家経営とサービス業の両立もテーマである。
それらをふまえたキャリア教育が目標である。
<21枚目>
●求められる農業教育
●5つの目標を元に、都市の人を田舎に呼び戻す努力をしなければならない。
<22枚目>
●農業高校の食育
●十勝マスヤパンと連携して人参パンの作成
<23枚目>
●別海高校でのフットパスづくり、東藻琴高校での、シャッター街を利用しての農業生産物販売など・・月一で販売したが、大盛況であった。また、コーヒーを無償でふるまうなど、人々が集まって楽しく話せるような空間作りが必要とされる。
<24枚目>
●道立高校初の、酪農教育ファーム認証された。
●高校生が自分で指導して、町の子供・先生に教える試みをしている。
<25枚目>
まとめ
<26枚目>
●コンピテンシー学習・・アメリカ国防省で出来た。
●自律的に活動する力
●道具を相互作用に用いる力(PCを使う、facebookをつかう)
●異質な集団で交流する力
●の三つを目的とし、目的意識を持って学習する。
●結果、起業力、経営力、クレーム対応、食べ物の食べ方の説明などを含めたコミュニケーションスキルを磨くことが出来る。
<27枚目>
●農村に優秀な人材が戻ってくるような教育をしないといけない!
●地域に誇れる人づくりが基本理念である。
☆質問タイム
★日本とヨーロッパの農業と比べると何が違う?
●遊び方が違う!
●ドイツなどは、地域に交流を楽しめるPUBがある。
●東藻琴では土日はシャッター街になってしまい、網走に行ってしまうが、ヨーロッパでは、土日にくつろげる場所がある。
●地元の人が集う場所を作る仕掛けを作ることが課題!
●常設する事が大事!
★いじめはあるか?落ちこぼれはいるか?
●いじめはない!生徒が誇りを持っていて、進路変更も少ない。
●寮内の事故もない。
●金銭・貴重品等は、寮内では預ける等の施策も取っている。
★生徒の出身は・
●道外から、夏休みに11組見学に来た。
●管外(十勝外)24名/600名
●本州は、1年に2名いる。
●平成23年 195名卒
●半分は進学、63名就職(民間)15名(公務員)
●大体12月に決まってしまう。
●自営15名
●進学自営28名
●上記2項目は後継者である。後継者は、大体農業科学者、酪農科に入る。
●産業土木工学科、森林科学科は、公務員志向の子が入る。
●道内の住民票がなくても入学可能である。
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鹿追町自然体験留学センター
<ご対応いただいた方々>
●鹿追町議会議員総務文教常任委員長 安藤幹夫様
●鹿追町教育委員会 学校教育課
学校教育指導室長兼自然体験留学センター長
楜澤(くるみさわ)実様
●鹿追町教育委員会 教育長 小林潤様
★行政側からは何もできない!お金を出しても、末端で動くのは住民の方々である。留連協に所属されている住民の方の結束がないとできない。
★今は東京の学校を回ってPRしている。来年の面接が始まっている。町が交流予定の台東区の方も見える予定である。酪農の農家の方々と名古屋の方の交流も20年近く続いていた。お互いの家にホームステイし、名古屋の方は農業体験していただいた実績がある。
★毎年名古屋には職員が出向き、新聞社等に記事を小さく載せてもらったりしている。
★問題のある児童→かつてはホームステイしていたが、苦労もあり、今はセンターにいる。
また、自分の能力を生かしたいと希望される生徒さんも来て、バランスが取れている。
自然体験留学センターにて
★子どもたちの部屋は少しだけ散らかっているが、全体的にきれい。
一応部屋は点検する。
★指導員松本様
もうひと方は募集活動で関西に行っている。
★くるみざわ様は一貫教育も担当。文科省指定で10年目である。
★定員は10名。(10人部屋)昨年は6名。(白色資料最終頁)
親子で来ている方が結構いる。(24年は小学校4名、中学校5名)
父親が海外勤務であったり、子供だけでは無理なので親が付いてくるパターンもある。
長い方は中学から鹿追高校に行く人もいる。(親子)
親子の場合の方が長い。センターの場合は平均二年~三年。
東京が1/3、後は名古屋、関西。札幌は一名。本来は道内は遠慮してもらっている。近いと親が頻繁に来てしまい、自立心がなかなかつかなかったり、里心がついてしまう。定員割れのため受け入れている。
★活動は自然体験をさせる事がモットーであり、四季を通じて行事が企画されている。春先は鹿の角拾い。広大な町営牧場で、2,3週間行う。
また、十勝石拾いが四月。山菜採りを地域の人と行い、その場でてんぷらにして食べる。(4,5月)
大きな畑を敷地内でもっているので、子供たちで自分の畑の管理をさせ、秋口まで農作業は続く。この間ジャガイモの収穫があり、各家庭に送っていた。
年間通じて乗馬体験がある。グループに分かれて月二回位ある。グループごとに分かれ、午前中掃除、午後練習している。年間3000円で、売りでもある!
興味があるので行けば顔なじみで結構乗せてくれる。
去年一頭死に、新しい馬が来た。8頭いる。
★男子は休日に釣りをする。ニジマス、ヤマベ、オショロコマで、すごく釣れる!この間43㎝のニジマスを男の子が釣っていた。男の子は釣りにはまりまくっている。
★山登りをしたり、然別湖にカヌーに連れて行く。
★冬はグラウンドにリンクを作り、スケートをする。先週帯広のスケートリンクに連れて行った.(小学生中学生無料)
父兄が冬にグランドに水をまき、リンクを作る。1月まではスケート、2月からはスキーになる。鹿追町は町営のスキー場があり、無料である。上手になったら本格的なスキー場(サホロリゾート、糠平)などに連れていく。
冬はもっぱらスノボー、スケートである。
センターも道具は持っているが、親から送ってもらって使ったりもしている。合間を見てワカサギ釣りに行っている。
★年に8回、二泊三日で家庭生活体験ショートステイをしている。センターだけだとマンネリ化してしまうので、地元の家庭から学校に通う。農家の場合は遠いので、送り迎えも車で送ってもらう。子供たちは楽しみで、バーベキューをやってもらったり、帯広の大きなお店に連れて行ってもらったり、寿司食べ放題だったり、息抜きをしているようだ。
★募集
4年生~中2
中3は、中高一貫のため、鹿追高校に入る前提となる。
★学力
鹿追高校は三コースに分かれている。
就職・短大・大学とコース制にしていて一年で分けてしまう。
就職はほぼ100%
高二の女の子で、気に入って親子留学で鹿追高校に行っているケースもある。
魅力の一つとして、高校までつながっている事がある。
至れり尽くせり、カナダに町のお金で二週間行ける。(高一)保護者の負担は二万円のみ!
★留学までに、会話が出来るように保育園から目的意識を持って英語教育に力を入れている。独自教科書を作って、ノーマルの英語ではなく、新設教科としてオリジナルの教科書を作っている。
★カナダ学と地球学という新しい教科の設立
★なぜ山村留学を始めたか?
生徒人数の減少による危惧感があり、地元が盛り上がったようだ。井出さんと言う方が地域を回ってホームステイを受け入れる家庭を発掘するのにものすごい時間がかかったとの事である。体制が整ったのが昭和63年である。センターが出来たのは5年前で、ホームステイ、親子留学と並行してやってきた。
★生徒の人数が減っており、瓜幕町は変わっており、ほとんどが公営住宅で、移住者で埋まっている。
★小学校30名(留学生入れて)、中学生23名
小学校は複式クラス。
絶対数が少ないので留学生の比率が多い。
小学6年が多い。
★地元の人で、「親が面倒臭いから留学させた」と誤解している人もいる。
★芽室にも山村留学をしているところがある。
★どういった経緯で教育委員会がかかわり始めたか?
留学制度を取り入れようとしたところで、地域、行政、学校が一体となった。
★行政はどういったかかわりか?
留学の組織に対して町が補助金を出している。制度全体に128万円出しており、地元の子にもメリットがあるように、行事、キャンプなどに対してお金を出している。(熱気球体験など)
寄付は当初あったが、今はない。
★留学センターは町の職員がやっているので、経費がかからないのがメリット。
留学生は51475円/月払っている。(給食費別)
★民間だと8~9万円かかってしまう。
★月5万円だと、もう少し安ければ・・という感想を持っている。今は恵まれている家庭が多い。
★自給率が高いので、食べ物は何とかなる。瓜幕は結構夏場は労働力が足りない。
★鹿追町の農家は裕福である。畑作は経費を引いて平均年収1000万円、酪農は2000万円位ある。
★耕地は少なくて50ヘクタール、~60ヘクタール
★HPにお金をかけて、SOC対策を施し、検索エンジンの上位にひっかかるよう努力をしている。新聞を読んでくる方もいる。
yk
鹿追町立瓜幕小学校
<町村俊彦校長先生インタビュー>
(町村校長先生は、とっても面白くて楽しくて熱い方!
これくらい親しみやすくて生徒一人一人を大切に思う校長先生だったら生徒たちも、そして他の先生方も自然に一生懸命頑張れるのではないかと感じました。)
★カナダ学、新地球学が特徴である。
★昭和63年開設であり、昭和とともに歩んだ歴史である。
★留学生と地元の子供が交流し成長する効果がある。
実数は200人、のべ400人以上が留学した。
★毎月発行される学校だより内に、留連協コーナーを載せている。
★カナダ学通信を発行している。
PTAも、ヌプカウシという通信を発行している。
★留学生の親も運動会に参加し、学習発表会では夜に合唱練習を行い、母親が合唱を発表する。
★留学の効果として、先生、留学生と生徒の交流が主に挙げられる。
名も知れぬ村に、色々な人、親、かかわる人たちが来る・・・
★4月は運動会、学習発表会があり、親も訪れる。
★地元の子が留学生の家に遊びに行く事も起きている!
★愛知のNPO留学は進んでいない。教育委員会がかかわっていないとなかなかすすまない。委員会には「地域が盛り上がってくれないと行政は口出しできない」と言われてしまう・・
★校長室は塾状態で、休み時間には算数苦手な子が習いに来ている。
★可愛い子には旅をさせろ、ではないが、たくましく育っている。歴史があるおかげで、地元の生徒も留学生をすっと受け入れる。来て一週間もするとわからなくなる。とけこむのが速い。
★四味一体で、今までやって来られた。留連協、地域、家庭、学校
★学力が心配な生徒がいる場合は、特別支援を入れている。
★留学生OBは、夏休みにサマーキャンプなどに来る場合があるが、個人的に学校にぷらっと来る事はない。
★土日の中心は釣り。ライディングチームで馬の世話もする。馬に興味があって来る子もいる。馬近くで生活したいと見学に来た子が今年は5組もいた。
★指導員の方が勧誘に(本州に)行くついでに元留学生の様子を見る事もある。
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帯広ばんえい競馬場
(ご対応いただいた職員様)
●帯広市農政部 ばんえい振興室 主幹 寺嶋義信様
●田中敬二室長様
★昭和時代は景気が良く、競馬場の売上で建設等に多大に貢献した。
★現在は地方競馬はかなり厳しい状況である。
平成元年の売り上げは約300億、 今は約100億である。
★4市(岩見沢、旭川、帯広、北見)で60億赤字になってしまい、帯広以外は廃止になってしまった。
★帯広も廃止の危機に瀕した際、ソフトバンクが借金込みで請け負ってくれた。(委託会社のオッズパークは昨年撤退)そのため、行政の税の投入はない。
★オッズパーク自体は現在も継続しており、良好な関係にある。
★売り上げは年々減少しており、ネットでの売り上げ割合が15%から40%に増加した。
★ネットでは夜売れる! そのためナイター開催を続けている。今年度は売り上げを上回った。ただし、ネット販売は手数料が50%もかかってしまう。
★明治期に重種馬をヨーロッパより輸入し、独自に掛け合わせ、日本ばんけい種を生みだした。現在ばんえい競馬場に600頭いる。いわゆるばん馬は、ばんえい競馬に出る以外は、農作業の機械化等により役割を失っている。
★普通の競馬ファンには、ばんえい競馬が怪しく見えてしまうらしい。
「なぜ途中で止まるのか」「馬は行きたがっているのに停めるのは、騎手間で何かやりとりがあるのではないか」と誤解されてしまう。
★場外馬券等の発売で、15%のマージンをもらえるので、最近は発売日を増やしている。
★24年は入場者数が増えた。札幌~帯広が高速がつながった事も要因である。
★(谷さん)
厩務員さんが優秀なことから、勝率が高くなっていると思う。平均的な馬が頑張ってコツコツ稼いでくれている。
★生産農家の方達が、「馬を買っても廃止になるかもしれない・・」と、不安に思っている。安心して馬を生産出来る環境が必要である。
☆馬文化を支える会理事 旋丸 巴(つむじまるともえ)さん 参加
★カレンダー等もNPOから出して売上に貢献している。
★昔はフランスの馬の祭りに宣伝に行ったりもしたが、景気悪化に伴い尻つぼみになってしまった。
★海外に余り宣伝すると、動物虐待のターゲットになってしまうリスクもあり、理論武装をしないといけない。
ばんえい馬を鞭で打った時に心拍数を計ったが、脈拍数は上がらず、痛いと思っていない事が証明されている。
★2月に内モンゴル、北京に競馬の宣伝に行く予定である。これからは中国を見込み客として期待している。
★谷さん「馬に全力疾走を強いているのだから自分も頑張らないと」と思い、廃止の危機に際しては自分の出来る限りの事をやってきた。
★修学旅行生を受け入れたりもしているが、直接の売り上げにはすぐにつながらない問題がある。
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全国初のママさん調教師、谷あゆみさん
にインタビュー!!
(写真の一番左が谷さん、そして私が抱っこしているのが谷さんのベビーボーイ)
地方競馬全国協会に登録する4人の女性調教師の中でも子育てと調教師の両立を計る全国初のママさん調教師、谷あゆみさんの厩舎を見学、そしてインタビューもさせていただきました。
谷さんは、ばん馬の祖先である農耕馬が、北海道で活躍していた時代を描いた『赤べえ』という絵本(旋丸巴氏著)の挿絵を描いたことでも知られていて、アーチストとしての才能も持ち合わせた、素晴らしい女性。
★なぜ調教師になったのか?
<谷さん>
「午(うま)年生まれだから、馬を描いてみたら、と父に言われ、3歳の頃から見よう見まねで馬を描いてみた。描いているうちに馬が好きになった。その頃は触れ合う事は少なく、物語等で馬が出てくる場面が好きだった。また、ムツゴロウ王国などをTVで見て憧れ、『絵をかきながら動物に触れあえうことはできないが、動物に触れ合いながらは絵も描ける』と思い、帯広畜産大学に入学した。その後名馬「シンザン」のいる牧場に就職、「シンザン」の担当となった。その頃、ばんえい競馬を見て大好きになり、週末ごとに観に行くようになった。」
そんな中、「ばんえい競馬 厩務員募集 女性」という告知を見て、すぐに応募した。(27歳の頃)
その頃売り上げが減少し、廃止に対して存続のムーブメントが起きていた。馬の働き口を確保したい一心で、調教師になる決心をし、試験を受けたら、1回で合格した。(普通は2、3回落ちる)
受かるとは思っていなかったので、馬が引くソリが一台もない状態からスタートした。(調教師がすべて用意しなければならない。)
調教師になったことで、ばんえいの存続運動に対して自由に動けたことが大きかった。
厩務員では雇われている身なので、自由に意見を言えなかった。
★調教師として・・・
<谷さん>
→調教師試験に受かった時に、「女だから受かった」と言われた事もあったが、当時の先生の梨本さんがかばってくれた。今でも、「体が小さいために出来ないなど、肉体的な原因なら仕方がないが、『女だからできない』と言われるのは絶対イヤだし、技術的に劣るのは絶対イヤだと思っている。
→まずは10頭枠からスタートしたが、調教師というのは個人企業と同じなので、自分で馬主に働きかけ、預けてもらう馬を開拓しないといけない。
→調教師試験では、例えば馬面のつむじの白い模様を読むような問題も出る。(レースに馬を間違えて出したら重大事件になってしまうため)
→優秀な厩務員さんに助けてもらっている。
→調教師はあくまでも司令塔的な役割で、レーススケジュールを組み立てたり、監督的な要素が強い。
→去年の五月、パドックで馬が暴れ、前足でつつきまわされて打撲になったこともある。
→給餌時に、頭をかじられ、血だらけになり、何針か縫ったことがある。
★結婚は?
<谷さん>
→当時付き合っていた彼が「子供がほしい」と言ったので、「では出来たら結婚しましょう、出来なかったら今のままでいましょう」と言ったら、子供ができたので結婚した。
→ご主人は10歳下で、子供が生まれた5月から暮らしているが、今までに2,3回しか喧嘩をしたことがない。
★子供を出産して・・・
<谷さん>
→46歳で子供を出産。子どもを産んでから顔つきが変わった、優しくなったと言われる。
→子供ができてナイーブな優しい面を見せることができるようになった。
→「地震・雷・谷あゆみ」と呼ばれていた。(それくらい怖かった)
→子供を産む前までは、自分でバリアを張っていた。
ばんえいの世界は職人さんの世界で荒っぽい事もあり、弱みを見せないように、また、やられてもつぶれないように肩肘を張って生きてきた思いがあった。
→今は子どもの世話に追われ、馬には触れる仕事はせずに、レースのアレンジを中心にしているが、馬が実際レースに勝って稼いでくれて実績を出してくれていることで、なんとか成り立っている。
→長男は辰年に生まれ、自分は午年なので龍馬(たつま)君と名付けた。
yk
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