東ゆうこ 2014年2月定例議会 議案質疑
2014/3/7
<全文>
女性の再就職支援事業について
歳出第7款産業労働費 第4項 労政費のうち、子育て女性再就職支援事業費について質問いたします。
本年度、愛知県では初めての女性の副知事であります、吉本副知事を迎え、「あいち女性の活躍促進プロジェクトチーム」を設置いたしました。ここでの検討結果をもとに、平成26年度には、「女性が元気に働き続けられる愛知」を目指し、女性の活躍促進に向けた新たな施策を積極的に推進されるということですので、私自信も非常に嬉しい気持と期待の気持ちでいっぱいです!ということをまずはお伝えしたいと思います。
昨日の山本議員の議案質疑に対する理事者のご答弁では、女性管理職養成セミナーや男性管理職向けワークショップなどを意欲的に開催する予定であるということをお聞きいたしました。
そして須崎議員と安藤としき議員からは、県の女性活躍促進に関するもうひとつの新たな施策であります『ファミリー・サポート・センター』を活用した『医療機関連携型の病児・病後児預かりモデル事業』についての質問がなされ、こちらの質問に対しても、理事者からの前向きなご答弁を聞かせていただきました。
さらに、先日の議会における山下議員の一般質問に対しましては、大村知事からも、仕事と育児の両立支援の取組として、男性の育児参加、いわゆるイクメンの普及を始めとする男性も含めたワーク・ライフ・バランスの推進にこれまで以上に取り組むという前向きなご答弁をいただいたところです。
このように今議会では何人もの男性議員から、女性の活躍促進についての質問がなされたということは、女性議員のひとりであります私といたしましても、非常に嬉しい限りであります。
ご存知の通り、政府も女性の社会参加によって経済の持続的発展を図るべく、「日本再興戦略」において「女性の活躍促進」を昨年6月14日に閣議決定いたしました。
この日本再興戦略では、女性が働きやすい環境を整え、社会に活力を取り戻すため、さまざまな取組を進めることとしております。
このように女性の活躍促進を促す穏やかな風が日本列島に吹き始めたところでありますので、この風を背中に感じながら、私からは本県の新しい事業のひとつであります「子育て女性再就職サポートセンター」について質問させていただきたいと思います。
まずは我が国の女性の社会進出の状況や就業状況は諸外国と比べたらどのようになっているのかを少しご紹介いたします。
まず始めに、「グローバル・ジェンダー・ギャップ・レポート」というのをみなさん、ご存じでしょうか。
毎年スイスで開催される、国家元首や学術機関、経済界などの要人の集まりである世界経済フォーラム(World Economic Forum)いわゆるWEFが毎年発表しているのが「グローバル・ジェンダー・ギャップ・レポート」いわゆる『世界の男女平等格差に関するランキング』と呼ばれるものですが、昨年10月に発表されたレポートによりますと、平成23年における男女平等、いわゆるジェンダー・ギャップに関する指数ランキングで、日本は136か国の中でなんと、105位であるという、ショッキングなデータが示されました。しかも、前年は101位、前々年は98位でしたので、年々順位を下げております。ちなみに、1位は5年連続でアイスランドという結果となっております。
この調査では、4つの分野の男女格差を測定し、4つの数値を総合的に見て結果を出すと言うものなのですが、
1つ目は、「経済活動の参加と機会」、これは具体的には、給与の金額や専門職での雇用率などのことを表しています。
2つ目は、「初等教育や高等・専門教育への就学率」であります。
3つ目は「健康と生存」とうことで、いわゆる平均寿命が何歳なのかということであります。
4つ目は「政治への関与」のことであり、意思決定機関への参画の割合がどれくらいなのかということを意味しています。
このような4つの指標のうち、日本の女性は世界で最も長寿であるので、この項目では毎年高ポイントが取れるものの、今回の調査では教育及び政治への関与において、前年よりスコアが低下したということで、総合的にランクが下位になってしまったのではないかと思います。
例えば、世界190カ国の国会の女性議員数を比較したジュネーブに本部を置きます列国議会同盟、いわゆるIPUが行った調査を見てみましても、2013年2月1日現在、1位がルワンダ、2位アンドラ、3位キューバ、4位スウェーデン、5位セーシェル、6位セネガル、7位フィンランド、8位南アフリカ、9位ニカラグア、10位アイスランドと、おなじみのヨーロッパ勢とアフリカ大陸を含む周辺諸国が上位を占めておりますが、日本は何番目かと申しますと、ド〜ンと下がって163位になっており、先進7カ国(G7)の中では最低の順位です。
ちなみに日本は2010年の時点では136位だったのですが、一昨年12月の総選挙で衆議院の女性議員の割合が11.3%から7.9%に減ったことで163位にまで落ちてしまったということです。
さて、就業状況はどうなっているでしょうか。平成25年の男女共同参画白書によりますと、就業者全体に占める女性の割合がフランスでは47.5パーセント、ノルウェーでは47.4パーセントであるのに対し、我が国の場合は、42.3パーセントとなっており、大きな差はないものの、管理職における女性の割合は、日本が11.1パーセントであるのに対し、アメリカは43%、フィリピン52.7%、シンガポール34.3%、マレーシア25%となっておりますので、管理職における女性の割合においても、日本は、欧米諸国だけでなく、アジア諸国と比べても非常に低い水準にあることがわかります。
また、2010年の国立社会保障・人口問題研究所の調査結果によりますと、日本の女性は、出産前に働いていた女性のうち約6割の女性が出産や育児により退職しており、出産後も継続して働いている女性はわずか38パーセントとなっております。
そして、女性の年代別就業状況をみましても、子育て期にあたる30歳代でぐっと減って、40歳代でまた上がる、いわゆる「M字カーブ」を描いており、諸外国に比べるとM字カーブの傾向が顕著になっています。
このようにして世界各国と我が国の状況を色々な角度から見比べてみますと、我が国におきましては、女性の力が経済活動に十分活かしきれていない、ということが改めて浮き彫りになってくることが、お分かりいただけると思います。
ちなみに、電通総研が昨年7月に発表した調査結果によりますと、結婚や出産で退職・離職した女性が希望どおりの再就業をした場合の経済波及効果は、6兆円を超えるとのことです。私個人的には、6兆円どころか、もっと大きな経済波及効果があるのではないかと思っておりますが、みなさんはどう感じていらっしゃるでしょうか。
ところで、先ほどの電通総研の調査では、子どもを持つ女性に対してアンケート調査を行っており、73.2パーセントの女性が「もっと女性が活躍する世の中になってほしい」と期待を持っている一方、ほぼ同数の72.6パーセントの女性が「育児と仕事の両立で、女性の負担が増える」と不安を感じているようです。そして、子育てと仕事の両立の条件として、「夫の理解と協力が必要」と考えている女性は63.3パーセント、「フォローしあえる職場環境が必要」と考えている女性も61.7パーセントにのぼっております。
このことからも、出産や子育てで多くの女性が離職しても、再び元気に働き続けることができるためには、そして、出産や育児と仕事を両立していくためは「夫の理解と協力」、「子育て環境の整備」、そして「就労環境の整備」などの3つの要素がどれも同じくらい大変重要な課題であると言えるのではないでしょうか。
さて、出産や育児により離職した女性が再就職や起業を目指す場合、ハードルになっていることのひとつとして、前職からのブランクがあり、社会復帰をする自信がない!というような『気持ちの上での問題』があります。
その背景には、以前のスキルが通用しないのではないかという不安、組織や人間関係に溶け込めるかという不安、育児などで時間的制約があり仕事を十分こなせないのではないかという不安、さらに、どうやって仕事と育児や家事の両方をこなして行けばよいのかなど、さまざまな不安を心の中に抱えていることです。
来年度から県は、名古屋駅近くの『ウィンクあいち』の17階にあります『あいち労働総合支援フロア』内に「子育て女性再就職サポートセンター」を設置するということですが、これまでに述べてきましたように、男女共同参画の取組が世界的に見ても遅れている我が国の社会状況の中で、こちらのサポートセンターが、戸惑っている県内の多くの女性の不安を取り除きながら、自信を持っていただき、再就職や起業につなげる役割を果たしていくものであれば、非常に大きな意味をもつものになるのではないでしょうか。
そして必要としている多くの女性にまずは、このサポートセンターの存在を知ってもらい、実際に足を運んでもらうようにしていくことが、当センター開設においての課題なのではないかと思います。
そこでお伺いいたしますが、こちらの『子育て女性再就職サポートセンター』設置のお考え方とその内容をお聞かせください。またひとりでも多くの女性に当サポートセンターを知ってもらうための周知方法についてお聞かせください。
以上でございます。
(労政担当局長答弁要旨)
子育て女性の再就職支援事業についてのご質問です。
女性が結婚や出産、育児をきっかけに一旦仕事を離れた後、再び働くにあたって、多くの女性が、これまで培ってきたスキルの活用や子育てと仕事の両立などについて不安を抱えています。このような不安を取り除き、離職後のブランクを埋めるなどのきめ細かな再就職への支援が大変重要であると考えております。
そのためには、子育て中の女性が安心して訪れることができるよう、交通の便が良く、相談やアドバイスを始め様々なサービスをワンストップで受けることができる場所が必要です。
そこで、平成26年度には、名古屋駅前にある愛知県産業労働センター17階にある「あいち労働総合支援フロア」内に、子育て女性の円滑な就業を支援するための専門の窓口として、託児機能を備えた「子育て女性再就職サポートセンター」を設置いたします。
このセンターにおきましては、月曜日から土曜日までのフロアの開設時間にあわせ、専任のキャリアカウンセラーを配置し、相談・カウンセリングを行うとともに、参加者のグループ討議によって、自己理解を深めながら、仕事の方向性を見いだすためのワークショップの開催や、それらの体験を踏まえた民間企業等における職場実習を実施いたします。
そして、子育て支援に関する様々な情報や、スキルアップを図るための各種セミナーの情報を効果的に提供しながら、国のマザーズハローワーク等の職業紹介機関の協力による再就職へとつなげてまいります。
また、相談・カウンセリングの結果、自ら事業を興したいと望む女性には、同じ産業労働センターにあります、公益財団法人あいち産業振興機構に設置されている起業を支援する「創業プラザあいち」との連携を図ってまいります。
このほか、三河地域においても、子ども連れの女性が気軽に相談に訪れることができるよう、臨時相談及び再就職のためのセミナーを実施していくこととしております。
次に、サポートセンターの周知方法についてであります。
ハローワークなどの国の機関や市町村などと連携し、それぞれの行政機関の広報媒体を通じた周知を行うとともに、サポートセンターのホームページを立ち上げ、情報発信を行ってまいります。
また、子育て中の女性が多く訪れる各地域の子育て支援施設、保健所や医療機関等での情報提供や、地域の子育てネットワークを通じたPRを積極的に行うなど、より多くの子育て女性に活用していただけるセンターとなるよう周知に努めてまいります。
<要望>
ご答弁ありがとうございました。
私からはいくつか要望させていただきたいと思います。
ご答弁では、マザーズハローワーク等の職業紹介機関や、創業プラザあいちなどとも連携して、当サポートセンターの相談業務を効果的に進めていかれるということでしたが、女性の再就職におきましては、家庭環境やどこに住んでいるのかという地域環境、そして個々の健康状態や性格や能力に至るまで、みんなそれぞれ違うと思いますので、できるだけ多くのオプションをご提示いただきたいと思います。
私の知人で国際結婚を経て、2児の母になり、シングルマザーで頑張っておられる女性が福島県に住んでおりますが、離婚されたときに、はどうやってまだ小学生だったふたりの息子たちを育てながら生きて行けばいいのかわからず、路頭に迷っていたところ、福島県の創業支援を受けられることを知り、その支援を受けながら平成20年に起業し、現在に至るまでの5年間で、多言語通訳や人材派遣の業務を確立し、学童クラブなどの運営もスタートさせ、昨年、平成25年には「全国商工会議所女性会連合会」で最優秀賞を受賞し、現在では、大学や企業などで講演や研修セミナーを行うなど、多方面で活躍しておられます。
離婚後に疲れ果てて、自信を喪失していた彼女の背中を押したのは、福島県の創業支援であった、ということを考えると、本県の新たな「子育て女性再就職支援」からも、彼女のような女性をたくさん輩出していけるのではないかと、期待しているところであります。大いなる成果をあげられるように、ご支援に力を入れていただきたいと思います。
次に周知方法についてですが、当センターはホームページの開設も予定しているようでうすので、その点につきましては良かったと思いますが、より幅広い世代と多岐に渡る分野の多くの女性に周知いただくためにも、ぜひ、フェイスブックやアプリなどの今の時代にあった新たな周知方法も取り入れていただきたいと思います。
以上